企業のクラウド移行が加速する2025年
2025年現在、多くの日本企業がMicrosoft OfficeからGoogle Workspaceへの移行を進めています。グループウェアのシェア調査によると、Microsoft 365が14.72%、Google Workspaceが7.21%と、両者を合わせると約22%の企業がクラウド型グループウェアを導入しています。
しかし、導入支援企業の調査では、Google Workspace導入企業の約40%が「従来ツールと併用」している実態が明らかになりました。せっかく移行したのに、結局ExcelもWordも使い続けているという企業が少なくないのです。
この記事では、実際の調査データをもとに、Office→Google Workspace移行で企業が直面する課題と、その対策を解説します。
課題1: 導入目的が曖昧なまま移行を開始してしまう
Google Workspace導入支援を行う複数の企業が共通して指摘するのが、「DX推進のため」「競合も使っているから」といった漠然とした理由で導入を始めてしまうという問題です。
ある導入支援企業の調査では、導入に失敗したと感じている企業の約70%が「明確な導入目的を設定していなかった」と回答しています。
この課題が引き起こす問題
- 現場に「なぜ移行するのか」が伝わらず、抵抗感だけが残る
- 「Officeで十分だった」という不満が蓄積
- 結果として「使いにくい」という理由で旧ツールに戻ってしまう
対策: 明確な導入目的を設定する
移行プロジェクトを始める前に、以下のような具体的な目的を設定しましょう。
- リモートワーク環境での共同作業を効率化する
- ファイルのバージョン管理問題を解決する
- ITコストを年間○○万円削減する
- 業務の属人化を解消し、チーム全体の生産性を向上させる
課題2: ExcelとGoogleスプレッドシートの「微妙な違い」
2025年のIT Media調査「業務におけるExcelの利用状況と課題」では、330人のビジネスパーソンにExcelの利便性と不満点を調査しています。
Excel利用者の多くが「使い慣れている」ことを最大のメリットに挙げる一方、Googleスプレッドシートへの移行では以下の違いに戸惑うケースが報告されています。
主な機能の違い
| 項目 | Excel | Googleスプレッドシート |
|---|---|---|
| マクロ | VBA | Google Apps Script (GAS、JavaScriptベース) |
| 新関数 | XLOOKUP対応 | XLOOKUP非対応 |
| 独自関数 | – | QUERY関数など |
| 大量データ | 高速処理 | 動作が遅くなる場合あり |
| オフライン作業 | 標準対応 | 事前設定が必要 |
対策: 事前トレーニングと比較表の配布
移行前に以下の対策を実施することで、混乱を最小限に抑えられます。
- ExcelとGoogleスプレッドシートの機能比較表を全社員に配布
- よく使う関数の対応表を作成(例: VLOOKUP→VLOOKUP、XLOOKUP→代替方法)
- VBAマクロをGASに書き換える社内勉強会の開催
- 実際の業務ファイルを使ったハンズオン研修
課題3: Word文書をGoogleドキュメントで開くとレイアウトが崩れる
既存のWord文書をGoogleドキュメントで開くと、レイアウト崩れが頻発します。
特に問題になるケース
- 契約書テンプレート: ページ番号やヘッダー・フッターの位置がずれる
- 提案書: 表の罫線が消える、フォントが置き換わる
- 社内文書: インデント幅が変わり、全体の見た目が崩れる
このため、「重要な外部向け文書だけはWordで作り直す」という二重運用が発生し、結局Office 365とGoogle Workspaceの両方を契約し続ける企業も少なくありません。
対策: 文書の用途で使い分ける
- 社内文書・議事録: Googleドキュメントで新規作成(共同編集のメリットを活用)
- 契約書・正式な提案書: 最初からGoogleドキュメントのテンプレートで作成
- 既存のWord資産: 重要度に応じて、段階的にGoogleドキュメント形式に作り直す
課題4: 共有設定の複雑さがセキュリティリスクに
Google Workspaceの強みである「リアルタイム共有」ですが、共有設定の複雑さが新たなリスクを生んでいます。
2025年の調査では、Google Workspace導入企業の約30%が「共有設定に関するトラブルを経験」していると報告されています。
実際に報告されているトラブル
- 「リンクを知っている全員が編集可能」のまま、機密情報を全社共有
- 「閲覧のみ」「コメント可」「編集可」の使い分けが分からず、意図しない編集を許可
- 外部との共有で、誤って社内限定資料を社外に公開
対策: 共有設定ルールの明文化と研修
- 社内で共有設定の標準ルールを策定(例: 社外共有は必ず上長承認)
- 共有設定の実演を含むセキュリティ研修を実施
- 定期的に共有設定の監査を実施(管理コンソールで確認可能)
- 情報区分(機密・社内限定・公開可)をファイル名に明記する運用ルール
課題5: Gmailの「ラベル」概念に戸惑う
Outlookに慣れた社員にとって、Gmailの「ラベル」は理解しづらい概念です。
OutlookとGmailの違い
| 項目 | Outlook | Gmail |
|---|---|---|
| 整理方法 | フォルダ | ラベル(タグ) |
| メールの場所 | 1つのフォルダに移動 | 受信トレイに残ったまま |
| 複数分類 | 不可(1フォルダのみ) | 可能(複数ラベル付与) |
| 検索 | フォルダ内を検索 | 全体を強力な検索で探す |
導入初月は、情報システム部門に「メールが見つからない」という問い合わせが殺到するケースが報告されています。
対策: Gmailの使い方研修を実施
- 「フォルダではなくラベル」という概念を丁寧に説明
- 検索演算子の活用法を教育(from: to: subject: など)
- フィルタ機能で自動ラベル付けする方法を共有
- 初月は「Gmail相談窓口」を設置して質問を受け付ける
移行を成功させる企業の3つの共通点
600社以上の導入支援実績を持つ企業の分析によると、移行に成功している企業には以下の共通点があります。
共通点1: 段階的移行を採用
3〜6ヶ月かけて段階的に移行した企業では、社員の抵抗感が約30%低いという調査結果があります。
段階的移行の例:
- 第1段階(1〜2ヶ月): Gmailのみ移行、Officeは併用
- 第2段階(3〜4ヶ月): GoogleドキュメントGoogleスプレッドシート導入、トレーニング実施
- 第3段階(5〜6ヶ月): 旧ツールを段階的に廃止
共通点2: 実践的な研修を実施
「マニュアルを配って終わり」ではなく、実践型研修を行った企業では、導入後の生産性低下が最小限に抑えられています。
効果的な研修内容:
- 実際の業務ファイルを使ったハンズオントレーニング
- ExcelとGoogleスプレッドシートの機能比較デモ
- 共有設定の実演とセキュリティ教育
- 部門別の活用事例紹介
共通点3: 相談窓口を設置
導入後3〜6ヶ月間、社内ヘルプデスクやSlackチャンネルで「困ったときに聞ける場所」を用意した企業では、移行満足度が約40%高いという報告があります。
移行6ヶ月後の満足度 — 調査データより
2025年のITMedia調査では、「Microsoft 365には戻れない」とGoogleユーザーが考える理由も明らかになっています。
Google Workspaceのメリットを実感した声
- リアルタイム共同編集: 複数人で同時編集できるため、会議中にその場で資料が完成
- 自動保存: 「保存し忘れ」によるデータ消失がゼロに
- どこからでもアクセス: リモートワークとの相性が抜群
- バージョン管理: 「最終版_最終版_本当に最終版.xlsx」から解放
ただし、これらのメリットを実感できるのは「移行後3〜6ヶ月経ってから」というのが、多くの事例で共通しています。
まとめ: 準備と研修が成功のカギ
OfficeからGoogle Workspaceへの移行で失敗しないためには、以下の準備が不可欠です。
- 明確な導入目的の設定
- 段階的な移行計画(3〜6ヶ月)
- 実践的な社員研修の実施
- 移行後のサポート体制(相談窓口)
- 共有設定などのセキュリティルール策定
調査データが示すとおり、これらの準備なしに移行を進めると、約40%の企業が「従来ツールとの併用」という二重運用に陥ります。
逆に、適切な準備と研修を行った企業では、移行後6ヶ月で「もうOfficeには戻れない」という声が多数を占めるようになります。
Google Workspace移行を成功させる研修プログラムの詳細はこちら
→ https://mikage-tech.com/mikage-dx/genai/office-ai-training/
