中部地方整備局の入札結果データを
MCPツールで分析してみた
今回はMCPツール(Model Context Protocol)を使い、
AIが自社で構築した入札結果データベースに直接クエリを投げて分析を行っています。
R6年度・R7年度の約15,100行・落札2,111件のデータ(令和6年4月〜令和8年1月まで)から、
建設コンサルタント市場の競争実態と発注パターンを読み解きます。
データ期間:R6年度(2024年4月〜2025年3月)・R7年度(2025年4月〜2026年1月)
総レコード数:15,100件(うち落札: 2,111件)
対象:土木コンサル、測量、地質調査、補償コンサル、建築コンサル等
分析手法:MCPサーバー経由でClaude AIがデータベースに直接クエリ
注:本分析は業務(コンサル等)のみ。工事データは別途分析予定。
① 落札件数ランキング:建設技術研究所が197件で圧倒的トップ
MCPツールで主要企業の実績を一社ずつクエリした結果、
建設技術研究所が197件・約66.9億円で件数・金額ともに突出しています。
2位の日本工営(175件)と合わせ、上位2社だけで372件と全体の約18%を占めます。
| 順位 | 企業名 | 落札件数 | 入札件数 | 勝率 | 落札総額 | 平均落札率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 建設技術研究所 TOP | 197件 | 381件 | 51.7% | 66.9億円 | 92.5% |
| 2位 | 日本工営 | 175件 | 501件 | 34.9% | 58.9億円 | 88.8% |
| 3位 | パシフィックコンサルタンツ 高効率 | 111件 | 205件 | 54.1% | 40.2億円 | 95.9% |
| 4位 | パブリックサービス 金額1位 | 95件 | 100件 | 95.0% | 82.0億円 | 104.7% |
| 5位 | オリエンタルコンサルタンツ | 93件 | 207件 | 44.9% | 34.1億円 | 89.9% |
| 6位 | 大日コンサルタント | 64件 | 309件 | 20.7% | 23.6億円 | 84.6% |
| 7位 | 八千代エンジニヤリング | 49件 | 136件 | 36.0% | 14.9億円 | 91.8% |
| 8位 | 中央コンサルタンツ | 44件 | 195件 | 22.6% | 15.5億円 | 84.8% |
| 9位 | アジア航測 | 42件 | 144件 | 29.2% | 18.1億円 | 84.5% |
| 10位 | 国際航業 | 41件 | 213件 | 19.2% | 17.5億円 | 84.6% |
件数だけでなく「入札した案件のうち何%を獲れたか」を見ると、景色が変わります。
パブリックサービスの勝率95.0%は驚異的ですが、これはWTO案件(大型プロポーザル)中心のため。
一般競争を含む企業ではパシフィックコンサルタンツの54.1%が最高水準で、
建設技術研究所(51.7%)を上回ります。
一方、大日コンサルタント(20.7%)や国際航業(19.2%)は多く入札する「数撃ちゃ当たる」型です。
② 金額で見ると逆転:パブリックサービスが82億円でトップ
落札件数では4位だったパブリックサービスが、
落札総額82.0億円で他社を大きく引き離して1位になります。
1件あたり平均約8,600万円と、建設技術研究所(約3,400万円/件)の2.5倍以上です。
平均落札率が100%を超えるのは、主にWTO案件(大型案件)での落札が含まれるためです。
WTO案件では予定価格の計算方法が異なり、技術提案の評価が重視されるプロポーザル方式が多く、
価格以外の要素で落札金額が決まります。
100件入札して95件落札(勝率95%)という数字も、プロポーザル方式中心の特殊なポジションを示しています。
③ 業種別の競争構造:土木コンサルvs測量で全く異なる世界
各企業の得意業種データから、業種によって競争環境がまったく異なることがわかります。
土木コンサル:大手寡占・高落札率の世界
上位10社中8社が土木コンサルを主力としており、
平均落札率は88〜96%と高水準です。
特にパシフィックコンサルタンツ(95.9%)や建設技術研究所(92.5%)は
予定価格に近い金額で受注しており、価格競争よりも技術評価で勝負する市場であることがわかります。
測量:地場企業も健闘する競争市場
測量分野ではアジア航測(17件落札)、中日本航空(17件落札)、
パスコ(17件落札)が3強を形成。
平均落札率は80〜85%と土木コンサルより10ポイント近く低く、
価格競争が激しいことを示しています。
| 業種 | 代表的企業 | 平均落札率帯 | 競争の特徴 |
|---|---|---|---|
| 土木コンサル | 建設技術研究所、日本工営、パシコン | 88〜96% | 技術評価重視、大手寡占 |
| 測量 | アジア航測、中日本航空、パスコ | 80〜85% | 価格競争あり、航空測量系が強い |
| 地質調査 | 国際航業、日本工営、大日本ダイヤ | 77〜81% | 最も競争が激しい |
| 補償コンサル | テイコク、日本工営、大日コンサルタント | 80〜84% | 専門企業と総合系が混在 |
地質調査の平均落札率は77〜81%と最も低く、参入企業が多い割に落札が難しい「レッドオーシャン」です。
国際航業はこの分野で16件落札と健闘していますが、入札66件に対する勝率は24%にとどまります。
④ 建設技術研究所の競合マップ:誰が王者に挑んでいるか
MCPの競合分析機能を使い、トップ企業・建設技術研究所と同じ案件に入札した競合企業を可視化しました。
「競合案件数」は両社が同じ案件に入札した回数、「自社落札」はそのうち建設技術研究所が勝った回数です。
| 競合企業 | 競合案件数 | 競合の落札 | 建技研の落札 | 建技研の勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 国際航業 | 93件 | 13件 | 16件 | 55.2% |
| 大日コンサルタント | 85件 | 11件 | 15件 | 57.7% |
| 中央コンサルタンツ | 83件 | 7件 | 6件 | 46.2% |
| 大日本ダイヤコンサルタント | 80件 | 1件 | 14件 | 93.3% |
| オリエンタルコンサルタンツ | 76件 | 16件 | 6件 | 27.3% |
| 日本工営 | 72件 | 15件 | 11件 | 42.3% |
| セントラルコンサルタント | 67件 | 3件 | 4件 | 57.1% |
| 長大 | 63件 | 2件 | 12件 | 85.7% |
| パシフィックコンサルタンツ | 62件 | 11件 | 8件 | 42.1% |
| いであ | 61件 | 4件 | 9件 | 69.2% |
10社中、直接対決で建設技術研究所を上回っているのはオリエンタルコンサルタンツ(勝率27.3%=建技研側が負け越し)のみ。
76件の競合案件でオリコンが16件落札に対し建技研は6件と、大きく差をつけています。
日本工営・パシフィックコンサルタンツとはほぼ五分の勝負(42%前後)で、
大日本ダイヤコンサルタント・長大に対しては圧勝(勝率85〜93%)という構図です。
⑤ 部局別の傾向:各社がどの部局に強いか
MCPで各社の「得意部局」データを横断すると、
沼津河川国道事務所と天竜川上流河川事務所が
ほぼすべての上位企業の得意部局に登場しており、最大の激戦区であることがわかります。
| 部局 | 主要な落札企業(上位3社) |
|---|---|
| 沼津河川国道事務所 | 建設技術研究所(13件)、日本工営(12件)、八千代エンジニヤリング(7件) |
| 天竜川上流河川事務所 | 建設技術研究所(17件)、日本工営(10件)、国際航業(5件) |
| 中部地方整備局(本局) | 建設技術研究所(23件)、日本工営(10件)、パシコン(9件) |
| 静岡河川事務所 | 建設技術研究所(11件)、パスコ(5件)、八千代エンジニヤリング(4件) |
| 静岡国道事務所 | 建設技術研究所(9件)、国際航業(5件)、オリコン(6件) |
| 多治見砂防国道事務所 | 日本工営(11件)、アジア航測(5件)、八千代エンジニヤリング(5件) |
| 名古屋国道事務所 | 中央コンサルタンツ(9件)、オリコン(7件) |
| 岐阜国道事務所 | オリコン(7件)、大日コンサルタント(5件) |
| 三重河川国道事務所 | パシコン(10件)、いであ(4件) |
| 浜松河川国道事務所 | フジヤマ(8件)、日本工営(10件) |
沼津・静岡・浜松の3事務所が上位に入っているのは、
伊豆半島・東海道の道路整備・河川改修の継続的な需要と、
南海トラフ対策に関連する防災・調査業務の増加が背景にあると考えられます。
また、天竜川上流河川事務所は建設技術研究所が17件落札と「指定席」化しています。
⑥ 平均落札率が語る「戦い方」の違い
企業ごとの平均落札率を見ると、各社の受注戦略の違いが鮮明に浮かび上がります。
平均落札率90%超のグループ(パシコン、建技研、長大、八千代、いであ)は、
プロポーザル方式や総合評価方式で技術点を稼ぎ、価格をあまり下げずに受注する「技術力勝負型」。
84%前後のグループ(アジア航測、国際航業、テイコク)は、
一般競争入札が多く、価格競争に晒されやすい「競争入札型」です。
これは業種の違いとも連動しています。
土木コンサル専業の企業は総合評価方式の恩恵を受けやすく落札率が高い一方、
測量・地質調査を主力とする企業は一般競争が多いため落札率が下がる傾向にあります。
総括:MCPデータ分析で見えた中部整備局市場の3つの特徴
MCPツールを使って主要20社以上をクエリし、
企業実績・競合関係・部局別傾向を横断的に分析した結果、以下の特徴が浮かび上がりました。
| 特徴 | MCPデータの根拠 | 示唆 |
|---|---|---|
| 建設技術研究所の圧倒的優位 | 197件・66.9億円、勝率51.7%。10社中8社に勝ち越し | 件数・金額・勝率の三拍子で首位。唯一オリコンだけが勝ち越し |
| 「技術力型」と「価格競争型」の二極化 | 平均落札率に10ポイント以上の差(96% vs 83%) | 土木コンサル=技術評価、測量・地質=価格競争。業種で戦い方が決まる |
| 部局ごとの「指定席」化 | 建技研→天竜川上流(17件)、パシコン→三重河川(10件) | 継続的な関係構築が最重要。新規参入には部局選定が鍵 |
建設コンサルタント各社にとって、この市場で勝ち続けるには
技術力の蓄積と発注機関との継続的な関係構築が最も重要であることが、
MCPによるリアルタイムデータ分析から明確に示されています。
補足:MCPツールを使った分析手法について
今回の分析では、中部地方整備局の入札データを蓄積したデータベースに対して、
MCP(Model Context Protocol)経由でClaude AIが直接クエリを実行しています。
MCPとは、AIモデルが外部のデータソースやツールと安全に連携するためのプロトコルです。
従来のように人間がSQLを書いてデータを取り出し、それをAIに渡す必要がなく、
AIが必要に応じて自らデータベースに問い合わせ、結果を解釈・分析します。
今回使用したMCPツールは以下の3つです。
| ツール名 | 機能 | 使い方の例 |
|---|---|---|
| company_stats | 企業名を指定して落札実績を取得 | 「建設技術研究所の実績を教えて」 |
| competitor_analysis | 同じ案件に入札した競合企業を分析 | 「建設技術研究所の競合を教えて」 |
| bid_statistics | 業種別・部局別・月別の統計情報を取得 | 「土木コンサルの競争状況は?」 |
「パスコって落札してる?」という自然言語の質問から始めて、
競合他社との比較、金額ランキング、そしてこのブログ記事の執筆まで、
すべてAIとの対話の中で完結しています。
おわりに
弊社では中部地方整備局の入札結果データを毎月自動収集・蓄積しています。
「自社の落札状況を分析したい」「競合企業の動向を把握したい」
「特定の部局・業種の市場規模を調べたい」といったご要望にお応えできます。
データ分析・競合調査のご相談
入札データを活用した競合分析・市場調査・営業戦略立案を支援します。
建設コンサルタント各社の受注動向、特定業種の競争状況、
発注機関別のトレンド分析など、貴社の課題に合わせたご提案が可能です。
※ 本分析は中部地方整備局が公開している情報をもとに弊社が独自に収集、AIを用いて分析したものです。
※ 工事データ(一般土木・維持修繕等)は今回の分析対象外です。
※ R7年度は2026年1月契約分まで(分析時点)の集計です。
※ MCPツールの特性上、一部データはツールの集計ロジックにより元データと若干の差異がある場合があります。

